大規模なスポーツイベントを狙う、アドフラウドの手口

アドフラウド(広告詐欺)は金のありかを狙っている。そして、2017年8月末の週末に行われた、ボクシングのフロイド・メイウェザー・ジュニアとコナー・マクレガーの試合で動く金も、その標的となった。

ペイパービュー限定で見られるような試合は、違法視聴サイトの格好の標的となっている。ユーザーが群がる違法ストリーミングサイトはアドフラウドの温床となっているため、広告のバイヤーにとって、こうしたイベントの著作権侵害は大きな悩みのタネだ。広告の調査・検証を行う企業、ダブルベリファイ(DoubleVerify)によると、ボクシングやレスリングの大きな試合がペイパービューで放送されるような土曜日の夜には、普段と比べて50%以上のアドフラウドが発生するという。

規模の大きなペイパービューが盗用されてしまうと広告費の無駄になるため、バイヤーはブラックリストからホワイトリストに切り替えて個々のドメインを監視し、安価なインベントリを避けることで、イベント中に発生するアドフラウドのリスクを軽減しようとしている。

アドフラウドの仕掛け

アドフラウドの仕掛人が違法ストリーミングサイトからトラフィックを買うためのひとつの方法は、ストリーミングサイトにシングルピクセルのフレームを埋め込むようなアドネットワークを悪用することだと、プログラマティック購入プラットフォームのデータックス(DataXu)でビジネス開発のシニアマネージャーを務めるケン・ヴァン・エベリー氏は語る。そのピクセルフレームは画素の粗いストリーミングサービスでは見えないため、トラフィックを購入したフラウドサイトは、ユーザーが決して見ることのない、膨大な数のインプレッションで報酬を得ることが可能となる。

こうしたサイトを特定することが困難な理由は、彼らは、一見オーガニックトラッフィク(検索連動型広告などの広告表示を除いた検索結果からのトラフィック)のように見えるものを、正規のトラフィックに混ぜ込んでいるためだ。たとえば、フラウドサイトは、その日のもっとも人気のあるハッシュタグを自動的にツイートするようなTwitterアカウントを開設するだろうと、アドフラウド対策を行う企業トラスト・メトリクス(Trust Metrics)のCEO、マーク・ゴールドバーグ氏は語る。そのハッシュタグをフォローしている人の何人かは、興味本位でリンクをクリックする。仮にそれがジャンクサイトのリンクだと分かって、そのサイトを閉じたとしても、そのユーザーは知らないあいだにフラウドサイトが(実在の人間による)トラフィックを得る手助けをしてしまう。そして、それを十分に得たフラウドサイトは、検証システムの目から逃れることができるのだ。

広告エージェンシーのクレイマー・クラッセルト(Cramer-Krasselt)でデジタル戦略部門のバイスプレジデントを務めるステファニー・エステス氏は、Webトラフィックの検証を行う企業と協働し、ドメインスプーフィング(なりすまし)を監視したところ、たちの悪いパブリッシャーやアドテク企業が、合法サイトに見せかけて自身のトラフィックの本質を見えにくくすることで、アドフラウドの仕掛人が人気のイベントを標的にしていることを気づかせにくくしているのだという。

どう対応するべきか?

別の広告バイヤーによると、特定のイベントがフラウドの脅威に晒されてしまうことを恐れる場合には、広告費の投入先をオープンな取引からプライベートなマーケットプレイス(PMP)に移し、(ブラックリストと比較して、広告費を投入するWebサイトの数をより制限する)ホワイトリストを採用しているという。ダブルベリファイのCOO、マット・マクラフリン氏は、どのサイトを遮断するかの決断においては、トラフィックが異常に集中していないかどうかに気を配る必要があると助言している。

だが、ほとんどのアドフラウド対策と同様に、ダマされないようにするための最善策は、真偽の疑わしい安価なインベントリを避けることだ。

「バイヤーは、『凄まじい数の人にリーチした』と思うだろう」と、アドフラウドの研究を行うオーガスティン・フォウ氏は語る。「確かに間違いではない。そのリーチした相手が『人間ではない』ことを除けば」。

Ross Benes(原文 / 翻訳:Conyac
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