世界アプリ市場は成長し、日本は収益拡大期を迎え、中印は台頭する:App Annie2016年市場リポート

モバイルアプリ市場調査会社App Annie(アップアニー)は17日、『2016年アプリ市場総括レポート』を公開した。同レポートを筆者が独自に要約すると、以下の4点のようになる。

1) 全世界におけるアプリダウンロード数は15%増加し、総利用時間は25%増加。「アプリエコノミー」の世界的な成長傾向が続いていることが裏付けられた。

2) 中国の台頭がより鮮明になった。新興国、発展途上国でモバイル保有、コネクティビティ(ネット接続)が広まるトレンドのなか、今後アジア太平洋やアフリカなどがアプリエコノミーに貢献する度合いが拡大していく。

3) 動画トレンドはアプリの切り口でも変わらない。サブスクリプションが収益化として有力。

4) モバイルによるショッピングの存在感が高まっている。特に実店舗をもたない小売りアプリが好調だ。

詳細に関しては以下の通り。

1.アプリ利用時間、ダウンロード数伸びる

世界のモバイルアプリ市場では2016年、利用時間、ダウンロード数ともに伸びた。

2016年に全世界のアプリの総利用時間*は前年から1500億時間以上増え、約9000億時間に達しました(中国を除くAndroidフォンの総時間)。この数字は、Androidフォンユーザーが1日平均約2時間アプリに触れている、という計算になります。

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利用時間の伸びに貢献した3アプリはGoogleとFacebookのものだった。広告事業を行う2社にとり好ましい状況と言える。

総利用時間の増加はあらゆる地域でみられました。ほとんどの国が前年比で20%以上増え、米国は約25%の増加でした。2016年に全世界のAndroidフォンで利用時間を大きく伸ばしたカテゴリーは、「通信」「ソーシャル」「動画プレーヤー&エディタ」の3つです。この3カテゴリーの中では、Chromeブラウザ、Facebook、YouTubeの3アプリが各カテゴリーの利用時間の増加に最も貢献しました。

総利用時間と同様に、2016年は世界のダウンロード数も2015年とほぼ同じ軌道を描いて増加した。iOS App StoreとGoogle Playを合計したダウンロード数は前年から130億件以上増加し、年間ダウンロード数は900億件を超えた。

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日本はダウンロード数が安定し、収益が伸びるフェーズ。日本とともに成熟市場の米国、ドイツでも、ダウンロード数の伸びは鈍化したものの、ダウンロード数自体は大きなボリュームを保っており、利用時間、収益は引き続き高い伸びを示す。

日本の非ゲームアプリではLINE、Yahoo! Japanが存在感を示した。世界アプリランキングでは、LINEが非ゲームのパブリッシャー収益ランキングで世界首位(4年連続)。Yahoo! JapanがパブリッシャーDL数ランキングで日本首位だった。

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2.中印、新興国の台頭

中国は2015年にiOS App Storeのダウンロード数で米国を追い抜いていた。しかし、今年はiOS App Storeの収益でも米国を抜いた。

第4四半期には中国のパブリッシャー収益が20億ドルを超え、国別としてはiOS App Store史上最大の四半期収益となりました。この素晴らしい業績は、経済成長を続ける中国へのAppleの多大な注力(とりわけDidi Chuxingへの10億ドルの出資)が功を奏していることを示唆しています。

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インドもApp Annieの統計で重要な役割を果たしはじめた。13億人市場は100ドル程度の安価なAndroidフォンで目覚めたばかりだ。これらのアジア太平洋の新興国でのアプリビジネスについて、DIGIDAY[日本版]は昨秋、App Annieアジア太平洋地域マーケティング統括担当ディレクターの羽田隆広氏にインタビューしている。

新興市場はまた、ダウンロード数の増加にも重要な役割を果たしました。中でも突 出していたのがインドで、2016年に急成長を遂げ、Google Playのダウンロード数で米国を抜いて世界トップになりました。ここ2年間のインドの躍進は、同国がさらなる成長の可能性を秘めていることを踏まえるとより驚異的であることがわかります。

2016年、インドは主に国内製スマートフォンの増加により、米国を抜いて世界第2位のスマートフォン市場になりました。しかし、それは始まりにすぎません。インドのスマートフォン普及率はまだ30%に届いておらず、インド市場全体に大規模な成長が控えています。

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インド最大都市ムンバイでのスマホ売り場、100ドル近辺からの価格設定(吉田拓史撮影、2015年5月)

3.動画トレンドを裏付けるサブスクリプション

App Annnieは2016年初頭に動画ストリーミングアプリ市場で、競争の準備が整ったとしていたが、いまや動画をめぐる競争は激化し、サブスクリプションが収益化として極めて有力だと指摘している。

DIGIDAYはモバイル動画がデータ通信の主役に躍り出る可能性に触れ、Google、Facebook、Amazonのほか大手通信のベライゾン、AT&Tまでこの領域で競争を初めていることを指摘してきた。先週報道されたFacebookのミッドロール広告はYouTubeとの激しい競争を物語っている。

そして現在、大手動画ストリーミングサービス同士が熾烈な競争を繰り広げており、その結果、収益は激増しています。米国、中国、イギリスでは2016年、iOS App Storeの上位3位の動画ストリーミングアプリの収益が大幅に増加しました。

 

この収益増により、サブスクリプションサービスにおいて消費者はアプリ内課金を進んで利用することが改めて証明されました。アプリストア外で サービス料金を支払う選択肢が用意されている場合でも(ウェブサイトでのクレジットカード決済など)、利便性から多くのユーザーがアプリ内課金を選択しています。

 

ビデオストリーミングアプリのアクティブユーザー数は、米国とイギリスではYouTubeが圧倒的な1位でした。一方、iOS App Storeにおける収益では、両国ともにNetflixが1位になりましたが、これは同サービスが2015年末にアプリ内購入によるサブスクリプションを導入したためです。

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4.ショッピングの場はモバイルに

消費者がモバイルで購買行動をとる傾向が強まっている。また小売りモバイルアプリでも、実店舗をもつものより、デジタルファーストのアプリのほうが好調だ。実店舗をもつ事業者はアプリへの投資が段階的になりがちなのかもしれない。

モバイルは2016年、小売業者のオンライントラフィックの44%、ならびに収益の31%を占めました。Internet Retailerは、世界のモバイル小売の収益は2016年に前年比で53%増加し、2200億ドルに達すると予測しています(中略)。

 

App Annieが分析した6か国すべてで、ユーザー1人あたりの月間セッション数は、デジタルファーストの上位アプリが実店舗&オンライン併用型の上位アプリを上回る傾向が見られたのです。加えて、この指標の成長速度もデジタルファーストのアプリが上回っていました。

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Written by 吉田拓史
Photo by Thinkstock/ GettyImage