Amazon、金融機関化に拍車がかかる:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週のトピックはAmazonは金融商品の販売を開始したこと。Amazonは7月20日(米時間)、米金融大手ウェルズファーゴと提携して教育ローンを提供すると発表した。「プライムステューデント(Prime Student)」では、ウェルズファーゴが提供するローン商品の利率を下げ、無料速配、映画、テレビ番組などのVOD、写真ストレージサービスも利用できるようになる(Reuters)

米国では高等教育費が高額でローンが一般的。消費への入り口を迎える若年層を、教育ローンを含むパッケージ商品で囲い込みを図っているとみられる。

Amazonは金融領域の拡大を狙っているだろう。同社はすでに与信審査、融資、オープン決済プラットフォームなどを開始しているが、中国のライバル、アリババ(阿里巴巴)は広範に渡る金融業態を揃え、リードしている。アリババは銀行機能を保持しており、決済サービス「アリペイ」のほか、利用情報をもとにした信用の評価、中小企業融資など巨大な金融エコシステムを構築した。

2013年開始の「ユエバオ(余額宝)」では、利用者は比較的短期の債券を中心に運用される投資信託「マネーマーケットファンド」でお金を運用しながら、アリババで買い物をしたくなったら、いつでもお金を買い物に使える。この投資信託の運用額では、本業の米投資会社JPモルガンを抜いている(下図:2016年5月)。

映像・音楽コンテンツのサブスクリプション、EC、金融サービスなどを包括したサービスは「消費者がECプラットフォーム上ですべてを済ます」ことを意味する。リアル店舗に対して営業をかけながら、独自のECを提供する企業にとって、対応するべきマーケティングの変化になる。アリババのリードの要因には、共産党政権の中国の方が金融関連の許認可を素早く取得できたこともあるだろう。またフィンテックの文脈でも、Amazon、アリババのような影響力あるサービスと、ブロックチェーンやフィンテックスタートアップがどう絡み合うのだろうか。

以下、その他、今週の注目トピック。

■ アクセンチュア・インタラクティブ「70億ドル」

アクセンチュアのマーケティング部門アクセンチュア・インタラクティブは「70億ドルの企業価値あり」と主張している。サービスは金融、食品、公的機関、消費財、自動車、製造業などに活用されているという(adexchanger)

同社の別ユニットである、ストラテジー部門はテクノロジー専門家とともにオラクルやマイクロソフトなどが提供するマネージメントソフトウェアを導入する。

デジタル戦略の立案、ウェブサイトの構築、デザイン、メディアの買い付け、モバイルアプリの開発、検索エンジン管理(SEM)。「私たちがやらないことは出版とテレビだけだ」とアクセンチュア・インタラクティブのマネージングダイレクター、ボブ・バーは話している。

■ 電通イージスM&A攻勢「継続」

電通本社の取締役専務執行役員で海外事業責任者、ティム・アンドレー氏は急速に成長する新興地域に投資する、と語った(WSJ)

電通は今年すでにM&A17件。2013年4月から2015年12月まで、M&A76件に7億6000万ポンド(約1200億円)を費やしている。電通は2012年に英イージスグループを50億ドル(約5250億円)で買収し、グローバル展開を本格的に開始。直近の決算ではオーガニックな売上の伸び率は8.1%、海外売上比率は54%だった。

■ ポケモンGOが日本で提供開始

ポケモン・任天堂・Nianticによるスマートフォン用アプリ、「ポケモンGO」の国内配信が7月22日午前、開始した。北米ではデイリーのユーザー数が北米ゲームアプリで歴代首位になるほど人気。米国の代理店はポケモンGOで遊んでマーケティング活用法を見出そうとしている(DIGIDAY[日本版])。米国の郊外型ショッピングモールではECにより漸減する来客数を回復チャンスになり、スポンサード・ロケーションになる日本マクドナルドの株価は高騰した。日本ではどのようなマーケティング活用がされるか、イノベーターに注目したい。

Written by 吉田拓史
Photo by Steve Jurvetson(CreativeCommns)