エクスペリエンスは拡張する、Airbnbが建築に参入:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週のトピックは、Airbnb(エアビーアンドビー)が奈良県・吉野に「コミュニティセンター」を建築することだ。Airbnbのビジネスはこれまで宿泊を仲介するアプリケーションを提供し、リアル面では宿泊提供者、業者などのエコシステムを築くにとどまってきた。

今回の地元との連携によるコミュニティセンターの「建設」はかなりリアルに食い込んだ例になっており、米メディアは「Airbnbが都市計画に進出した」としている。マーケティング業界で注目の集まる、エクスペリエンス・デザインの新しい拡張例だろう。

今回のプロジェクトはAirbnbの創業者の1人、最高プロダクト責任者のジョー・ゲビア氏が立ち上げたデザインスタジオSamara(サマラ)のもの。日本の建築家・長谷川豪と協働したという。

コミュニティセンターは高齢者の多い地域で、人々が集うことができる場として機能し、宿泊施設としての機能ももつ。地元民と国内外の旅行客が交流する場になるのだろうか。

mainPhoto by Housevision

この取り組みでは自治体が土地を供与し、Airbnbが地元と協力して建築する。ゲビア氏はブログで、高齢化した村落のなかで、このような施設が経済的な刺激を与え、地域コミュニティが互いに助け合うことを促せればいいと語っている。もし、この試みが成功すれば、同様の問題を抱えるアジア、欧州の各国にも展開を検討するという。中国、韓国、イギリス、スペイン、フランス、イタリアなどから問い合わせがあったそうだ。

Airbnbのサービスはシェアリングエコノミーの代表例。「ただホテルに泊まるのではなく、地元の人の家に泊まり交流や文化を楽しむ」というミレニアル世代の「体験重視」の例でもある。ゲビア氏はブログでこう説明する。

今日、我々の家、乗用車、もろもろのモノはもはや社会ステータスを明示するものではなくなった。もはや我々は隣人に追いつこうと思わない。その代わりに「エクスペリエンス・エコノミー(体験経済)」に向かっている。休暇の写真や自分で作曲した音楽をシェアし、昨晩のディナーについてツイートしたり、新しい任天堂のゲームを友達に見せたりする。ポケモンGOを紹介したその日、私のステータスは友人の間で、急上昇した。

もし、シェアリングエコノミーを前提に都市・住宅を設計すれば、そのあり方は従来のものとはまったく異なるものになるだろう。ハーバード大学のエドワード・グレイザー教授(都市経済学)は、都市は集住するおかげで郊外よりも「効率的」だとしている。もし、シェアリングエコノミーを組み込んだ都市を作れば、より効率性が高いのではないか。

以下その他のトピック。

■Amazonが独自の航空機輸送を採用

Amazonが米国で航空機リース会社2社と契約したと明らかにした。繁忙期に主に東・西海岸間の輸送に活用するという(recode)。Amazonは強固な物流網を各国で整備。トレーラートラック、貨物船のリース・購入などを行っている。

■Didi ChuxingとUber Chinaが合併へ

中国ライドシェア企業Didi Chuxing(滴滴出行)とUber Chinaが合併へ(The Economist)。Uberが中国事業をDidiに譲渡する変わりに17.7%のDidi株を取得する。Didi Chuxingの中国マーケットシェアは8割強に対し、Uber Chinaは5%を下回る。Uberの中国市場での損失は20億ドル(約2100億円)とも言われていた。

■Facebook、釣り記事排除を強化

Facebookがニュースフィードからの釣り記事排除を強化するという(Facebook newsroom)。釣り記事の度合いをスコアリングし、その記事を共有したFacebookページ、Webサイトを罰すると説明している。

■セールスフォースまた買収

セールスフォースがオフィスアプリケーションのQuipを7億5000万ドル(約770億円)で買収。Quipは元Facebook・CTO(最高技術責任者)が経営。サービスはマイクロソフトのオフィス365クラウドと同様の領域のものだ。セールスフォースの買収攻勢は続いており、6月にECソフトウェアのデマンドウェア(Demandware)を、28億ドル(約3000億円)で買収。LinkedIn(リンクトイン)買収では、262億ドル(約2兆7500億円)で買収したマイクロソフトと最後まで競合していた。日本市場でも拡大を急いでいる(関連記事)

■ポケモンGOの動画がバイラル

街の人にいたずらする4人組。スイスで制作された。

Written by Yoshida Takushi