人工知能の民主化が消費者行動を変える:今週のデジタルマーケティングサマリー

今週のトピックは人工知能(AI)の民主化だ。立て続けにGoogleの人工知能に関するニュースが報じられた。個人が人工知能へアクセスする機会は飛躍的に広がっており、広告・マーケティング・メディア・コンサル業界にも地殻変動が起きるかもしれない。

Google傘下のディープマインドは24日(現地時間)、AIが大量のテレビ番組で学習した結果、唇の動きから46.8%の言葉を読み取った。同じ番組群で人間の正確性は12.4%でAIは約4倍だった。

最近、Google翻訳の精度も大幅に向上した。

機械翻訳や機械学習、音声言語処理を研究するカーネギーメロン大学助教のGraham Neubigはこうツイートした。

さらに日英、英日、韓英、英韓の翻訳を学習したモデルが、英語を介さずに日韓、韓日の翻訳をやり遂げたことが話題になっている(Googleのリサーチブログ)。つまり、コンピュータが「内的な言語を身につけた」「言語の意味的な部分を理解した」とも言われる。

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企業のAI研究者獲得競争は熾烈を極め、米国では大学から研究者が干上がるのではないかと危惧されるほど。今月中旬にGoogleがスタンフォード大学AI研究所所長のフェイ・フェイ・リー氏、Snapchatの親会社Snapの研究部門トップ、ジア・リー氏という著名研究者を招き入れた。

Googleは11月21日(現地時間)、深層学習とAIの研究グループをGoogleのモントリオールオフィス内に設置すると発表しており、世界中に拠点を拡大している。

前述のディープマインドは22日に英ロンドンの医療法人NHSと協働すると発表している。診療データを利用し、ニュース速報のような形で患者に関するアラートを医師に提供することを検討する。

広告分野でもマッチングの最適化に利用される、あるいはすでに利用されている可能性が高い。モバイル広告の視認率が向上したとのニールセンの統計が出たが、マッチングはその要因のひとつだろう。

人工知能が及ぼす変化において、特に広告・マーケティング・メディア分野で重要なのは、さまざまなタッチポイントで言語を操るパーソナルアシスタントの登場だ。

消費者側では、パーソナルアシスタントがさまざまなデバイス・プラットフォームを横断して、人に便宜を図ることが起きうる。現在は人の意思決定にモバイルが食い込んでいるが、将来はパーソナルアシスタントが大きな役割を果たすかもしれない。同時に広告・マーケティング・メディアなどのサービス提供者側でもAI活用によりモデルの変化が起きると考えられる。

■AT&T、WPPテレビターゲティング技術企業を買収

AT&T、WPP、衛星テレビプロバイダーDISHはテレビのターゲティング広告である「アドレサブル広告」を提供する「インビディ・テクノロジーズ(Invidi Technologies)」を合同で買収すると発表した。アドレサブル広告は米国で利用が拡大している。

 ■インスタ、スナチャ機能を強化

インスタグラムは21日(現地時間)、24時間で消えるタテ型動画「Stories」にライブ動画を追加。インターフェイスはTwitterのPeriscopeに似ている。ダイレクトメッセージには「消える」機能を加えた。Snapchatの機能を意識した変更とみられる。とある女子大生のブログでは「本格的にSnapchatが流行る前にInstagramがsrories機能をつけた」と分析し、話題を呼んでいる。

Instagram stories

 ■BuzzFeedがNBCUから2億ドルを調達

BuzzFeedは21日(現地時間)米最大メディア・コングロマリットNBCUから2億ドル(約220億円)を調達。合計4億ドルに達した。BuzzFeedの評価額は17億ドルと言われる。

■Facebookが中国再上陸目指し、検閲ツールを開発

Facebookは中国での利用認可を目指し、中国政府用の検閲ツールを開発している、とニューヨークタイムズが報じた。開発に携わっていた従業員数人は人権問題に絡むこの件をめぐって退職したという。

 ■モバイル広告のターゲティングが向上

ニールセンが今週発表したリサーチによると、2016年4〜6月間にモバイル広告のインプレッション(表示)のうち60%が視認された。2015年の同期と比較すると49%伸びた。

■Google、モントリオールにAI研究チーム設置

Googleは11月21日(現地時間)、深層学習とAIの研究グループをGoogleのモントリオールオフィス内に設置すると発表した。 同時にMontreal Institute for Learning Algorithms(MILA)に対し450万カナダドル(約3億7000万円)を投資した。

Written by 吉田拓史
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