「未来」のプログラマティック広告において、クリエイティブが果たすべき4つの信条

この記事は、クリエイティブエージェンシー(広告制作会社)「Publicis Seattle」のストラテジスト、ライアン・ストーナー氏による寄稿です。

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個人個人に最適化された広告を掲載する時代が来れば、広告制作の現場もアルゴリズムによる変化を迫られる。データをクリエイティブに融合させることは、喫緊の課題だ。

いまやクリエイティブの自動化により、パブリッシャーのチャンネルに合わせるのではなく、個々のオーディエンスの状況に合わせた、より適切で関連深いメッセージを届けることが可能になりつつある。エージェンシーで働くクリエイティブたちは、そんな現実に目を覚まし、アルゴリズムによって生成される1対1のメッセージに価値を見出さなくてはならない。

こうした流れは、当然のように思うだろう。しかし、エージェンシーたちは、次世代のプログラマティック広告の姿をいまだ認識していない。また、ダイナミック・クリエイティブ(インプレッションごとに、ユーザーに関連のある広告コンテンツを配信するプログラマティック広告)にすら、あまり関心を示していないのだ。

業界が著しく変化していることは、周知の事実である。顧客情報をもとに広告を差し替えることができるエージェンシーは、競合を早々に出し抜けるだろう。10年後には、アルゴリズムがデジタルクリエイティブの工程をコントロールするほど、重要になるかもしれない。絶対にクリエイティブが、テクノロジーに遅れをとらないようにしなければならないのだ。

消費者が広告を観るとき、彼らは実際の商品ではなく、映像の品質や物語を観る。これはデジタルにおいても同様である。もちろん、いまのところデジタル広告には、そこまでのクールさはなく、関係者が誰しも切望するテレビ業界のような大きな予算ももち合わせていなかった。しかし、私たちは、いずれ始めなければならない。

この来るべきデータドリブンな広告業界で、意義のあるクリエイティビティをアピールしていくために、広告制作会社がこだわっていくべき信条は、以下の4つである。

1. データとテクノロジーによって関連性を高める

先進的な広告主が私たちに求めているのは、正しいオーディエンスにメッセージを届けることではない。データのマッチングによってリーチできるのは当然として、そのオーディエンスへ、どのように個人的なユーザー体験を提供できるかなのだ。消費者をより良く観察することが良いクリエイティビティにつながり、データに裏付けされたアウトプットは金にも勝る。

2. 柔軟性の高いテンプレートを用意する

数多く広告を作成すれば良いということではない。制作時間の効率化を図り、広告内容を素早く差し替えられる柔軟性の高いテンプレートが重要になる。タイミングがすべてなのだ! 明日成功する企業には、消費者が欲するときに、すぐさま関連性の高いコンテンツを提供できる、レーザーのような焦点が必要となる。消費者のニーズを理解する戦略と、ベストなタイミングで実行に移せる能力をもつこと。そうすることで、企業はパーソナルで消費者の生活を中心に考えた広告を作成することができるのだ。

3. タッチポイントごとにオーディエンス理解を繰り返す

動的な広告には、オーディエンスの思考を収束させる効果がある。オーディエンスの行動を変えさせるために、なぜ購入をためらうのか、いま何をしているのか、また、この商品・サービスを利用して何を解決したいのかを予測するのだ。誰かが一度広告を見たら、飽きさせないためにも、次は違うやり方でアピールすることになるだろう。

4. オーディエンスに対する好奇心を保つ

作成する広告は、可能な限りパーソナルで、私たちのコアオーディエンスに関連する興味深いものであるべきだ。そのようなデジタル広告があれば、企業はメディアクリエイターになれるといっていい。オーディエンスのニーズに応える動的なストーリーを、データを使って作成すれば良いのだ。

あなたが来年のNFLの決勝戦を観ているとき、次の日曜日の対戦相手や、どこの街で試合が行われるかなどのリアルタイムデータをもとにした広告を観ているかもしれない。そして、その広告はよりパーソナライズされるか、よりフィットさせることで、あなたが観るたびに内容を毎回変化させるだろう。

マーケターたちは、ターゲットにしているユーザーや広告が表示されるメディア環境をよく理解している。そして、その知識を利用して、クリエイティブな要素(もしくは要素の組み合わせ)を簡単に更新できるシステムを作り上げた。これらはすべて実現可能なのだ。

Ryan Stoner(原文 / 訳:小嶋太一郎)
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