エージェンシーが「クリエイティブの内製化」を実現するべき4つ理由

この記事は、米国ポートランドに拠点を置くクリエイティブエージェンシー、Swiftの共同創業者で、最高執行責任者(COO)を務めるアリシア・マクベイ氏の寄稿です。

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専門家を重視する私たちの文化では、役割をあまりにきちんと線引きするあまり、それが逆に制約となってしまう危険性がある。エージェンシーの外部スタッフとなるクリエイターたちーークリエイティブディレクター、アソシエイト・クリエイティブディレクター(ACD)、デザイナー、ライターらには、インスピレーションと見識を、実現可能なアイデアへ変換することが求められているのだ。

しかし、それとは別のモデルも存在する。エージェンシー内部にコンテンツの制作スタジオを組織するというものである。そうすることで、コラボレーションと効率、そして成果のレベルを高めることができるのだ。

総合的なクリエイティブチームに制作チームを加えることで、ブランドに関する知識と見識という大切なものを、アイデア出しの段階と、そのアイデアを形にする段階、両方において共有できる。だから、最終的に非常に優れたコンテンツを提供できるのだ。

エージェンシー内においてコンテンツスタジオを運用することで、クリエイティブの面でもビジネスの面でも、素晴らしい成果をあげられる理由を4つ、説明しよう。

1. 最終成果物が優れたものになる

社内のスタジオチームと一緒に仕事をすると、最終成果物がさらにシャープになり、撮影された写真におけるブランド表現が一貫される。まず第1に、同じチームと働くほうが、アイデアの当初のビジョンをとらえやすい。また、スタジオのチームが一緒だと、最初の段階から、予算と時間の制限内で達成可能なアイデアになる。全員が同じ屋根の下で働き、会社の全体的な目標と価値を共有すると、コミュニケーションが高まり、コラボレーションが強まるのだ。

次に、スタジオチームにブランドが浸透する、という利点がある。クリエイティブチームとスタジオチームが手を結んで、クライアントに対することで、クライアントのブランドとキャンペーンの目的について、スタジオチームの理解が進むという恩恵があるのだ。撮影が続くにつれて、ブランドに関する知識は集積されていく。また、クリエイティブ面の事後の分析、つまり、あるキャンペーンで何がもっとも成功したかの評価にも、クリエイティブチームと制作チームの両方が参加することで、今後の制作に適用できる学びが得られ、ブランド表現の一貫性が向上するのだ。

2. クライアントのROI(投資対効果)が向上

コンテンツスタジオの構築は、時間とお金はかかるが、きちんとやれば、クライアントからすると大変な価値の増大になる。つまりは、効率と量だ。間に入る人が除外され、より迅速な立ち上げが可能になる。制作会社のスケジュールと空きに翻弄されない。外部のグループと一緒にやるよりも社内でやるほうが、一貫した進展と、確かなコミュニケーションの構築および管理がずっと容易だ。

時間が浮くことで、クリエイティブチームとスタジオチームが、個々のプラットフォームにあわせたコンテンツを制作できるようになる。再利用コンテンツは、ひとつのチャネルのために作られたものに比べると、エンゲージメントが下がってしまう。当社では、自社のアイデアの90%を内製しており、それぞれのチャネルに適したコンテンツを、高いコスト効率で数多く提供している。

3. とにかく高速化!

社内のスタジオでコンテンツを制作すると、制作が劇的に速くなる。キャンペーン戦略全体の策定は数カ月かかることもあるが、いったん手法が決まると、スタジオチームを擁するエージェンシーは、その戦略につながるアイデアを2~3週間で考え出し、制作することができる。

このアドバンテージは大きく、ブランドは、当を得たキャンペーンを非常にタイムリーに展開できるようになる。立ち上げから数週間でアイデアを出すことで、その時のトレンドを利用し、「今」と共振するコンテンツを作ることができるのだ。こうして、ブランドと消費者の間に意味のある接点が生み出され、エンゲージメントが高まる。

4. 大きな充実感

最終成果物の実際の制作に関わることは、非常に健康的な満足を覚えるものだ。現場に立ち会うと、自然と力が出てくる。また、機能するものと機能しないものがすぐにわかり、リアルタイムで調整することができる。

形になったものを指差して、「そう、私たちがこのアイデアを考え出し、作ったんだよ!」と言えるのは、とりわけ、比較的手際よくできたときには気分がよい。みんながひとつのチームの一員だと、充実感がいっそう大きくなるのだ。

Alicia McVey (原文 / 訳:ガリレオ)
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