活況を呈する「広告効果測定」企業:好調な資金調達、大型買収も

アドテクベンダーが経営破綻し二束三文で買収されるのは日常茶飯事だが、広告効果測定企業には好機が訪れようとしている。

広告効果測定企業の台頭

広告効果測定企業の台頭の典型例は、オラクル(Oracle)が8億5000万ドルで買収すると報じられているモート(Moat)だ。TechCrunch(テッククランチ)によると、アナリティクス企業のシミラーウェブ(SimilarWeb)も、4700万ドルの出資を受けたばかりで、評価額が8億ドル近くになっている。だが、ベンチャーキャピタルによるアドテクへの出資が途絶えた時期に、広告効果測定分野の新興企業が資金を調達している事実からも、この分野への需要は明らかだ。デバイスでのブラウジング行動を追跡するコンバージョン・ロジック(Conversion Logic)は、3月に900万ドルの資金を調達。モバイルデバイスのリニアTVの視聴者を検証するアルフォンソ(Alphonso)も、6月に約600万ドルを調達している。モバイルアトリビューションを主に扱うオープン・アップ(Open Up)は、2017年に最初の資金調達となるシードラウンドで150万ドルを調達しようとしている。

「この分野を追求する新興企業が登場している」と、新興の広告効果測定企業への投資を検討しているアドテク分野のエンジェル投資家、エリック・フランキ氏は語る。「現行プロダクトのなかには、異なる時代のために開発されたものもある。したがって、新興の広告効果測定企業は、より現代的な方法で20年来の問題に取り組んでいる」。

広告効果測定企業インテグラル・アド・サイエンス(Integral Ad Science)の最高製品責任者を務めるデビッド・ハーン氏は、広告効果測定の特定の側面に焦点を絞った企業が台頭していることを認める。ただし、詐欺やビューアビリティ(可視性)、ブランドにとって危険なインベントリー(在庫)、アトリビューションなどを包括的に追跡するプロダクトスイートを用意しているベンダーは数社だけだという。新興の広告効果測定企業は、モートやダブル・バリファイ(DoubleVerify)、インテグラル・アド・サイエンスのような業界大手に規模では太刀打ちできないが、テレビ向けのターゲット広告を測定するアルフォンソのように、ニッチ市場で成功することは可能だ。

なぜ求められるのか?

測定企業と他分野のアドテク企業との違いは、測定企業が問題の解決を目指している点だ。アドテク企業の多くがいま苦戦しているのは、広告の売り手と買い手が一様に、真の価値を提供せずにインベントリーの鞘取りで利益を上げているベンダーを切り捨てつつあるからだ。

この1年間に起きた一連の不運な出来事も、広告効果測定に対する需要を高める一因となった。Facebookは、数多くの測定ミスを犯してマーケターを苛立たせた。アドフラウド(広告詐欺)の検知を手がける企業ホワイトオプス(WhiteOps)は、「メスボット(Methbot)」に関するレポートを公開し、ロシアの詐欺ビジネスが広告主を欺いて、視聴されない動画広告に1日5000万ドルを支払わせたと主張している。過激派のコンテンツの隣にYouTube広告が表示される件をめぐる騒動も、ひとえにブランドセーフティを求める、広告トラッキングへの需要を高めた。

「人の不幸は蜜の味」というが、こういった一連の出来事が圧力となって、ブランドとアドバイヤーは一様にサードパーティーの測定の導入を進めている。こうしたベンダーがより多くのキャンペーンに携わるにつれて、その評価額が高まっている。業界情報メディア「アドエクスチェンジャー(AdExchanger)」によると、広告検証分野でモートやインテグラル・アド・サイエンスの後を追うと業界関係者に考えられているダブル・バリファイは、現在約3億5000万ドルでの売却を検討しているという。

市場に流れ込む大金

測定がアドテクの人気分野になったため、買収が増加すると予想されると語るのは、アドテク会社のアドバイザーで、アドリサーチ会社インダストリー・インデックス(Industry Index)のプレジデントを務めるジョナサン・シェイビッツ氏だ。同氏によると、主要な買収候補には、モート買収を受けて、この分野でオラクルと競争したいと思っているクラウド企業、測定会社をシステムに直接統合して買い手である顧客を引き付けたいと考えているプログラマティックプラットフォーム、ニールセンのようなデジタルサービスを見直したがっている従来型の広告効果測定会社が含まれるという。

測定会社の評価が上昇し、好機を逃した投資家らは後悔している。アドテク企業のライブランプ(LiveRamp)やセーフグラフ(SafeGraph)を創業したオーレン・ホフマン氏は、アドテク企業数十社に投資してきたが、測定会社にはまだ投資していない。ただし、今後はそうした方針を変えつもりだ。「そうした企業に投資していれば良かったと、心から思っている」。

Ross Benes(原文 / 訳:ガリレオ)
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