「希望はまだある」:アドバイヤーによるSnapchat評価

2017年3月の株式公開以降、Snapchatの開発元であるスナップ(Snap)は、四半期ごとにがっかりするような売り上げの減少とユーザー増加の鈍化を報告し続けている。11月8日(米国時間)に行われた第3四半期の収支報告のアーニングコール(電話会見)でも、同社の見通しが改善していることを示す内容はほとんど聞かれなかった。スナップは、今四半期に4億4300万ドル(約498億円)の損失を出し、株価は下がる一方だ。

米DIGIDAYでは、Snapchatでの体験や今後の課題や機会について、21人のアドバイヤーに話を聞いた。アドバイヤーたちは、Snapchatに支出し続ける理由として、近く予定されているデザインの一新やインプレッション単価(CPM)の引き下げ、Snapchatの協力的な販売チームを期待の持てるサインと見ている。だが多くのアドバイヤーが、Snapchatはまだニッチな広告機会だととらえており、その理由として、ほかの大手の競合企業と比べるとオーディエンスが比較的少ないことを挙げている。要するに、多くのアドバイヤーにとって、Snapchat広告は、ほんのわずかの予算を投じるだけの「実験的」取り組みであり、GoogleやFacebookのように「マストアイテム」の地位を確保しているのではない。

モバイルエージェンシー、フェッチ(Fetch)で有料ソーシャル部門を率いるトーレイ・タラリ氏はこう語る。「我々は、近く行われるアプリのデザイン変更に注目している。それがユーザーリテンションにどう影響力するか、ユーザーが広告とどのようにやりとりするか、関心を持っている。デザイン変更が適切に行われれば、新しいユーザー層への扉を開くことになり、このアプリが使いやすいと思うユーザーが増えるだろう」。

「Snapchatは添え物扱い」

Snapchatの課題もまさにそこにある。Snapchatは、自由な使い方のできる万人向けのプラットフォームになることをほぼ拒んできた。そのせいでSnapchatは、10代にはヒットしたものの、それ以上の成長に向けた取り組みはあまりしてこなかった。Snapchatのデイリーユーザー数は1億7800万人だが、インスタグラムの「ストーリー(Story)」やWhatsApp(ワッツアップ)のデイリーユーザー数がそれぞれ3億人であることと比較すれば色あせて見える。

米DIGIDAYのインタビューに応じたアドバイヤーのほぼ全員が、Facebookやインスタグラム、さらにはTwitterでソーシャル広告予算の半分以上をつぎ込み続ける大きな理由は、規模にあると答えている。一方でアドバイヤーたちは、Snapchatを広告予算の「実験の場」ととらえ、残りの予算の10~20%を費やしている。

匿名希望のあるアドバイヤーは次のように述べている。「Snapchatの失敗は、キャンペーンにとってこのプラットフォームがなくてはならないものだとブランドに思わせなかったことだ。多くの場合、Snapchatは添え物扱いされているか、ニッチな、通常は若いオーディエンスにリーチするために使われている。売り上げはこうした苦戦を反映していて、このプラットフォームに予算を投じていないマーケターは、この状況を見て安心している」

若年層にはめっぽう強い

ユーザー数増加の伸びが鈍いことは、プログラマティック広告の提供のように、Snapchatの新しい広告プロセスにも悪い影響を与えている、とウェーブメーカーU.S.(Wavemaker U.S.)でエクスペリエンス、コンテンツならびにスポンサーシップ部門を率いるノア・マーリン氏は言う。「よりターゲット化したAPIバイイングをオープンにすることはSnapchatにとって賢い動きだが、ユーザー数が増えなければ、オーディエンスを細分化するのが難しくなり、これが収支報告にも反映されている」

Snapchatの究極の目標はユーザーベースの拡大だ。決算発表のアーニングコールでスナップの最高経営責任者(CEO)であるエバン・シュピーゲル氏は、より多くのAndroidユーザーに、特に35歳以上の人や米国以外の国の人にSnapchatを広めたいと語った。

Snapchatはより高い年齢層にリーチを広げるべきだと、すべてのアドバイヤーが考えているわけではない。むしろ、すでによく知っている13~34歳をターゲットにすることに専念したほうが良いという声もある。電話会見のなかでシュピーゲル氏は、Snapchatは米国やフランス、英国、オーストラリアでは13~34歳人口の70%以上にリーチしていると述べた。米DIGIDAYの取材に応じた21人のアドバイヤー全員が、自分たちのクライアントにとって、この年齢層にリーチするにはSnapchatが依然として最良のプラットフォームだと答えている。

セルフサービスツール

あるアドバイヤーは「いまの段階でこの認識を変えることは難しいだろう」と言った。別のアドバイヤーは、デザイン変更が既存のオーディエンスに受け入れられない可能性もあると懸念した。

米DIGIDAYに話を聞かせてくれたアドバイヤーの大多数は、6月に提供を開始したスナップ・アドのセルフサービス型管理プラットフォームが、Snapchatが株式公開以降にやったことのうちでもっともよい行動だったと考えている。21人のアドバイヤーのうち16人が、セルフサービスツールのおかげで、Snapchat上でのキャンペーン展開がかなり容易になったと話している。

セルフサービスツールが公開されるまで、アドエージェンシーはスナップの販売チームに何度か直接電話をしなければならず、かなり面倒なプロセスを経てそれぞれの広告製品を高度にカスタマイズする必要があった、と匿名希望の別のアドバイヤーは説明した。「Snapchatが、広告主側にコントロールする力をもっと与えてくれれば、Snapchatはテストしてみる場所というゾーンを抜け出せると思う」と、このアドバイヤーは述べた。

「パフォーマンスが向上」

セルフサービスプラットフォームは、Snapchat上の広告にかかるコストを大幅に引き下げもした。

アドエージェンシーGSD&Mのアソシエイトメディアディレクター、エバン・ウォーカー氏は次のように語った。「キャンペーンは一つひとつ異なるが、Snapchatのセルフサービスプラットフォームが実装されて以来、結果が良くなってきている。コスト効率が格段に改善され、Facebookに近いもの、あるいは同等なものになったし、場合によっては副次的なインタラクションをもたらす点でほかのネットワークよりパフォーマンスが良くなった」。

ウォーカー氏によると、セルフサービスプラットフォームを利用した場合のCPMは、Snapchatが管理していたこれまでのキャンペーンの約4倍にまで効率化されたという。実際、Snapchat広告のCPMはFacebookの平均CPMとほとんど同じだとウォーカー氏は言う。バイヤーたちは米DIGIDAYに、CPMは3~8ドルだと話してくれた。

しかし、広告の価格が低下したことでスナップの第3四半期の売り上げ全体に悪影響が及んだ。シュピーゲル氏は電話会見でこの点に触れ、この1年でCPMが60%以上減少したと述べた。

協力的な販売チーム

だが、セルフサービスプラットフォームは最終的には利益を生むとアドバイヤーたちは考えている。ウォーカー氏は、「Snapchatのセルフサービスプラットフォームはプラスの変化をもたらすと確信している。参入へのハードルを最小限にして、プラットフォーム対プラットフォームのテストを可能にしてくれる。これはやがて、Snapchatが広告製品をスケールアップする助けになると思う」という。

セルフサービスプラットフォームの成長に伴う痛みがあるとしても、Snapchatにはセルフサービスへの移行をスムーズにする手助けをしてくれる協力的な販売チームがあることが、アドバイヤーのあいだでは知られている。米DIGIDAYの取材に応じたアドバイヤーは全員、特にエージェンシーやクライアントに対して新しい広告オプションを教える際に、Snapchatのチームがいかに有用であるかを指摘した。4人のアドバイヤーは、Facebookやインスタグラム、Twitterなど、ほかのソーシャルプラットフォームと比べて、Snapchatの販売チームははるかに親切で協力的だと強調した。

匿名希望のあるアドバイヤーは次のように言う。「Snapchatの販売チームはいつでも手をさしのべてくれるし、進んで我々に会おうとしてくれる。これがほかのプラットフォームとは違うところだ。Facebookやインスタグラム、Twitterでは、これが難しいことがある。特にクライアントの広告予算が少ない場合には」。

「コンサルを行う集団へ」

だが、グローバルに事業を展開し、たくさんの広告予算を持つクライアントと仕事をしているエージェンシーで働く別のアドバイヤーは、スナップもPinterest(ピンタレスト)もFacebookもインスタグラムもTwitterも、サービスチームはどこも「模範的」で、1対1でサービスを提供し、すぐに対応してくれて、必要とあればオフィスまで飛んでくる、と話す。

スナップの決算発表アーニングコールで、Snapchatの最高戦略責任者(CSO)を務めるイムラン・カーン氏は、セルフサービスにすることで、Snapchatの販売チームはコンサルタント業務により多くの時間を充てられるようになった、と述べた。「我々は、購入用プラットフォームをどんどん自動化している。それに伴い我々の販売チームも、注文を取る立場から、クライアントのためにコンサルティングを行う集団へと移行している」と、カーン氏は説明した。

Ilyse Liffreing(原文 / 訳:ガリレオ)